内頸動脈狭窄症は脳梗塞の原因!治療法と適応

みなさんこんにちはマッスルDrです。

以前脳梗塞について何度か解説しましたが、原因の一つである内頸動脈狭窄症に関して詳しく解説します。

目次


内頸動脈狭窄症について

 内頸動脈狭窄症は、脳梗塞の原因の一つであり、首の血管が動脈硬化で細くなる病気です。動脈効果で血管の壁にプラークが沈着していき、その一部がはがれて脳の血管に詰まることで脳梗塞をきたす場合と血管が極めて細くなることで血流が停滞し、脳血管の抹消まで血液が供給されずに脳梗塞が起こったり、停滞して血栓ができて閉塞したりする場合もあります。

 症状としては脳梗塞を来した場合は、麻痺や喋りにくさ、重症例では意識を失い、命を失う場合もあります。

 また、一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attack)と呼ばれる一過性に虚血症状が生じる場合もあります。

*脳梗塞や TIAに関しては以前解説していますので、合わせてご覧ください。



治療適応について

 治療法は血管のプラークを直接取り除く方法(CEA:Carotid endarterectomy)
     血管内治療でカテーテルを使って金属のステントで広げる方法(CAS:Carotid artery stenting)などがあります。

 また、症状などがない場合は抗血小板薬(血液サラサラになる)や高血圧・糖尿病・高脂血症などの基礎疾患の治療を行います。

 治療にはリスクを伴うため、手術と今後の脳梗塞のリスクを考慮して治療の適応を選択します。

 内頸動脈の狭窄率は〜49%で軽度、50〜69%で中等度、70%〜高度と分類されます。

 また、今までに脳梗塞やTIAなどが起こっている場合は症候性、無症状の場合は無症候性と分類されます。

 今までにいくつかの研究がされています。その結果に基づく現在の一般的な手術の治療適応は、今までに症状を来したことのある、症候性の患者さんで、70%以上の狭窄を認めた場合は外科的治療が勧められます。

 70%以上の狭窄があると内科治療を続けた場合で、2年間で26%の脳梗塞の発症リスクがあり、治療すると6%以下のリスクに低下させることができると報告されています。(NASCET試験)

 無症候性で偶然見つかった患者さんの場合は、まずは内服治療を開始します。

 しかし、脳梗塞になると、命が助かった場合でも、麻痺や失語などの後遺症が残る場合があり、患者さんが日常生活を送る上で大きな問題を抱える場合があります。

 そのため、予防的治療を行う場合があります。
 狭窄率が中等度以上では、患者さんの状態に応じて手術治療を進める場合があります。

可動性があるプラークや潰瘍性のプラークなどは不安定プラークと呼ばれ、脳梗塞のリスクが高いため、早急に治療を行う場合もあります。


治療法

内科的治療

 50%以上の狭窄を認めた内頸動脈狭窄症の患者さんには、出血のリスクを考慮しながら、抗血小板薬の内服を開始し、血液をサラサラにすることで脳梗塞のリスクを軽減します。

また、内頸動脈狭窄症のある患者さんでは、高血圧や糖尿病、高脂血症を合併する場合が多く、心筋梗塞のリスクでもあります。抗血小板薬と一緒にその他の疾患の治療薬を開始します。

CEA:内頸動脈内膜剥離術

 全身麻酔で手術を行います。

 直接血管のプラークを取り除く手術方法です。一時的に血流を遮断し、シャントチューブで側服血流を作成し、手術中も脳に血流を流しながら手術を行います。直接プラークと原因である内膜を取り除くため、再発のリスクは低いです。

CAS:内頸動脈ステント留置術

 局所麻酔で行います。

 カテーテルと呼ばれる細い管を血管に通していきながら、血管が狭くなっている部分にステントを広げて血管を形成する方法です。局所麻酔で行うことや手術時間も短く患者さんの負担が少ない治療です。

 最近では様々な種類の治療器具が増えており、安全性も高くなっています。

*CEAと比較してすると、ステントと呼ばれる金属を留置するため、ステントの中に血栓ができる可能性があります。そのため、少なくとも3ヶ月は抗血小板薬2剤を内服し、血液をサラサラにする必要があります。また、減量後も1剤は長期間にわたって内服が必要であるため、出血のリスクはあります。

 CAEとCASの両方に過還流症候群と呼ばれる合併症の可能性があります。細かった血管を広げることで脳に血流が流れすぎるという病態で、痙攣や頭痛、場合によっては出血により、命を落とす危険性もあるため、十分に注意が必要です。


まとめ

  • 狭窄率は〜49%で軽度、50〜69%で中等度、70%〜高度と分類され
    症候性の場合で70%以上の場合は外科的治療の必要があります。
  • 中等度以上の無症候性内頸動脈狭窄症は、抗血小板薬による内科的治療を開始し、血液をサラサラにします。
  • 脳梗塞を一度発症すると後遺症を残すことも多く、内科的治療に加えて中等度以上の狭窄がある場合は手術が勧められます。
  • 内頸動脈狭窄症の患者さんは心筋梗塞のリスクも高いため、合わせて評価を行います。
  • 高血圧や糖尿病、高脂血症がある場合は脳梗塞のリスクが高くなるため無治療の場合は早期に治療を開始します。
  • 手術治療には直接プラークを取り除く(CEA)方法とカテーテルと呼ばれる細い管を使ってステントで血管を広げる(CAS)方法があります

*手術には合併症のリスクもあるため、患者さんの状態に応じて治療法を選択します。

その他の病気に関してもまとめていますので目次から選択してご覧ください。

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