脳腫瘍の悪性度と治療選択!

みなさんこんにちはマッスルdrです。
今回も前回に引き続き脳腫瘍について解説します。
脳腫瘍は腫瘍の種類・悪性度に応じて治療法を選択します。また、年齢や腫瘍の場所によって治療を調整します。

目次


○脳腫瘍の悪性度

脳腫瘍には神経膠腫(グリオーマ)中枢神経系悪性のリンパ腫などの脳細胞から発生する悪性腫瘍髄膜腫下垂体腺腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫などの脳実質外の組織から発生する腫瘍があります。

脳腫瘍の悪性度はグレード1〜4で分類されます。グレード1は良性であり、髄膜腫や下垂体腺腫などの脳実質外の腫瘍です。一部脳にも浸潤し悪性度の高い物もあります。神経膠腫(グリオーマ)は悪性度に応じてグレード2〜4に分類されます。最も悪性度の高いグレード4の膠芽腫(グリオブラストーマ)は腫瘍の増殖速度がはやく、脳への浸潤も高度です。

 グレード1(良性腫瘍):髄膜腫や下垂体腺腫、神経鞘腫など脳実質外組織から発生した腫瘍です。正常との境界がはっきりしているため手術で切除できる物も多く、全摘出できれば治癒も期待できます。脳の深部にある場合や神経症状が出やすい部位では手術困難な場合があり、可能な範囲での部分摘出や放射線治療を行う場合もあります。比較的増殖速度も遅いため、すぐに手術を行わずに経過観察を行う場合もあります。

 グレード2(低悪性度):良性腫瘍の一部で悪性度が高いものや神経膠腫(グリオーマ)の中で悪性度の低いものが分類されます。手術で取り切ることや追加の放射線で比較的良好な経過を取ります。

*一部再発する場合もあります。

 グレード3・4(高悪性度):未分化な腫瘍や膠芽腫(グリオブラストーマ)、中枢神経系悪性リンパ腫瘍などが分類されます。増殖速度が速く、周囲への浸潤力も高いです。手術で可能な限り摘出をおこない、追加の放射線・化学療法を施行しますが、治療効果が低い場合もあり、再発・増悪までの速度が速いです。

*中枢神経系悪性リンパ腫の場合は薬の効果が高いため、手術では診断のみ行います。


○治療方法

・手術

 脳腫瘍の手術で必要なことは可能な限り多くの腫瘍を摘出し、正常機能へのダメージを最小限に抑えることです。特に優位半球(左側、左利きの人の一部が右側)の手術には注意が必要です。運動野(手足の動きを司る)や言語野(言葉を司る)に腫瘍を認める場合は、手術により症状が増悪し、麻痺や失語(喋れない)になるため、全てを取り切らず追加の放射線や薬物療法を行います。

手術の際にナビゲーションシステムやモニタリングシステム覚醒化手術による症状の確認、術中MRI検査で腫瘍の確認を行います。

*手術による合併としては、出血や脳梗塞、てんかんなどをきたす可能性があります。

・放射線治療

 レントゲンやct検査で使うx線の強力なものを使用して腫瘍を破壊する方法です。放射線のみ使用する場合は稀で、手術や薬物療法と組み合わせて使用します。

良性腫瘍の場合
 腫瘍と正常組織の境界が比較的はっきりしている物もおおく、ピンポイントでの照射を行います。中にはγ(ガンマ)線と呼ばれる特殊な装置を使います。

悪性腫瘍の場合
 境界が不明瞭であり腫瘍細胞と正常細胞が混ざり合っています。正常細胞にも放射線が当たるため、なるべく一度の照射量を低くし、数週間にわたって照射します。

*放射線治療の副作用としては、吐き気やだるさ、食欲がなくなるなどが起こります。また照射した部位により、皮膚炎や脱毛、中耳炎などもおこります。

・薬物療法

 良性腫瘍には基本的に行わず、グレード2以上の悪性腫瘍に対して抗がん剤や分子標的薬を使用します。グリオーマに対してはテモゾロミドが効果的とされています。悪性リンパ腫に対してはメトトレキサートなどの薬を使用します。

*腫瘍による脳浮腫に対してはステロイド治療も行います。


○まとめ

・脳腫瘍は悪性度によってグレード1〜4に分類される。
・グレード1(良性腫瘍):髄膜種や下垂体腺腫など、手術で取り切ることで完治できる。
・グレード2(低悪性度):増殖速度や進行速度が緩やかで、手術と放射線治療により進行を抑えられる。
・グレード3・4(高悪性度):増殖スピードが速く、手術で全てを取り切ることが難しく、手術後に追加で放射線治療や薬物療法を行います。
治療法は手術・放射線治療・薬物療法を、腫瘍の種類や悪性度、患者さんの年齢や腫瘍の部位によって決めていきます。

その他の病気に関してもまとめていますので目次から選択してご覧ください。

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