認知症と間違われやすい慢性硬膜下血腫!転倒後の高齢者に注意
みなさんこんにちはマッスルdrです。
以前、認知症の中にも手術や治療で良くなる「治る認知症」について解説しました。
記事:治る認知症、突然忘れっぽくなったら一度病院に
今回はその1つであり、外来でもよく見かける慢性硬膜下血腫について解説します。
○慢性硬膜下血腫とは
50歳以上の高齢者で多く、頭を打った後(3週間以降)に出血で脳が圧迫され、麻痺や物忘れなどの症状をきたします。
交通事故や転倒の後の出血は、急性期と慢性期の2つがあります。
慢性期は頭を打ってから1〜2か月に症状が出現します。
一部の方では急性期には出血を認めなかったにも関わらず、脳と頭蓋骨の間に時間をかけてじわじわと出血が起こり、慢性期にのみ症状を認める場合もあります。
また、10〜20%の人では、特に頭を打っていないにも関わらず、発症する場合があります。軽い尻餅なども原因になります。
お酒をいっぱい飲む方や血液サラサラのお薬を飲んでいる方、透析中の方はリスクが高いので注意が必要です。
・症状
頭痛や嘔気などの脳圧亢進症状と麻痺や痺れ、痙攣などの局所症状が出現します。
脳圧亢進症状:血腫が頭の中に増えることで、頭の中の圧が上がります。これにより頭痛や吐き気などを起こします・
局所症状:血腫が脳を圧迫することで脳の機能が障害されます。特徴的な症状としては、麻痺や痺れ、喋りにくさ、フラフラして歩けなくなる、急に物忘れがひどくなり、認知症が進んだと勘違いされます。
・検査法
CTやMRI検査で血腫を確認します。CT検査が短時間で行えるため、お勧めします。手術前にはMRI検査で詳しく調べる場合もあります。
○治療法
血腫の量が大きく、頭痛や吐き目、麻痺などの症状を認める場合は手術が必要です。
症状がなく、たまたま見つかった場合や血腫が小さい場合は薬での治療も行います。
手術:局所麻酔で1〜2時間ほどの比較的簡単な手術を行います。4cmほど皮膚を切り、10円玉ほどの穴を骨に開けて血腫を取り除きます。問題がなければ1週間ほどで退院できます。
注)簡単な手術でもサラサラの薬を飲んでいる場合は出血が止まりにくい場合や局所麻酔で行うため、患者が暴れる場合もあります。
*病院によっては、全身麻酔で行う場合もあります。
薬:トランサミンと呼ばれる止血剤や五苓散と呼ばれる漢方薬を使う場合もあります。
*五苓散は二日酔いにも効果的なため、二日酔いのドクターがよく飲んでいます。
興味がある方は一度試してみてください。
○予防・注意点
転倒後は1度症状がよくなっても出血する場合があります。1か月後くらいで1度病院を受診して検査してもらうのもお勧めです。
手術をした後も10%の方で再発します。再発の場合は、手術を追加したり、カテーテルの治療で出血している血管を詰めたりします。
術後の感染症や痙攣をきたす場合があるので注意も必要です。
- 50歳以上の高齢者に多く、頭を打った後(3週間以降)にじわじわと出血が広がり、頭痛や嘔気、麻痺、物忘れなどの症状をきたします。
- 物忘れやふらふらして歩けないなどの症状だけの場合は認知症とよく間違われます。
- 1週間の入院で手術を行い退院できます。しかし、10%ほどで再発します。
- 止血剤や五苓散(漢方)などの薬を使う場合もあります。
その他の病気に関してもまとめていますので目次から選択してご覧ください。
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*最新のガイドラインや書籍を参考に記事を作成し、最新の内容にアップデートしますが、医療は日々進歩しているため、中には間違った内容が含まれる場合があります。
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