脳腫瘍の危険な症状と種類!症状を見逃さないポイント

みなさんこんにちはマッスルdrです。

今回から脳腫瘍について解説していきたいと思います。まずは大人の脳腫瘍を解説していきます。


症状

 脳は他の臓器と違って頭蓋骨と呼ばれる骨の中にパンパンに詰まっています。そのため腫瘍ができると正常な脳が圧迫されることで症状をきたします(局所症状)。また、頭蓋骨の中の体積が増えるため、圧が上がり頭痛や吐き気などの症状をきたします(頭蓋内圧亢進症状)。

局所症状(脳の一部が傷害されることで、障害された脳の機能障害が出る):脳はそれぞれの部位で体の動きや感覚、言葉や思考の機能を持っています。脳腫瘍がそれぞれの部分で障害を起こすと、麻痺や感覚障害(しびれ、いたみ)、言葉が出ない(失語)、注意障害をきたします。

頭蓋内圧亢進症状(頭蓋骨内部の圧が上昇):頭痛や吐き気、重症になると意識が悪くなり、呼吸が抑制されます。頭の中の圧は時間により変動し、寝ている時に少し高くなるため、朝に強い頭痛が脳腫瘍の症状の中で特徴的です。

*脳腫瘍ができると脳はどんどん腫れてきます。脳は髄液と呼ばれるプールに浮かんでいますが、脳の腫れによってプールの流れが悪くなり、頭の中に水が溜まる水頭症と呼ばれる状態になります。歩行障害・尿失禁・見当識障害(物忘れ)を認めます。緊急で手術になる場合があります。


種類

 脳細胞からできた腫瘍は組織学的検査や遺伝子検査などにより150種類以上に分類され、それぞれに応じて治療を進めていきます。今回はその代表的で多く認める腫瘍をピックアップします。

神経膠腫(グリオーマ)
中枢神経系原発悪性リンパ腫
髄膜腫
下垂体腺腫
・脳以外からの転移性脳腫瘍

神経膠腫(しんけいこうしゅ:グリオーマ):脳の神経細胞からできる腫瘍です。腫瘍の中でも悪性度と呼ばれる段階づけがあり、最も悪いものは膠芽腫(こうがしゅ:グリオブラストーマ)と呼ばれ、平均余命は1年ほどととてもタチが悪いです。脳の別の場所に転移することも多くあります。

中枢神経系悪性リンパ腫:脳のみに正常とは異なるリンパ腫を認めます。眼の中にも発症することがあるため注意が必要です。とても進行スピードが早く患者さんにによっては日に日に増悪するため緊急の手術が必要になる場合が多いです。画像検査からは膠芽腫や転移性腫瘍との鑑別が困難な場合もあります。薬での治療か効果的です。

髄膜腫:脳を包んでいる髄膜と呼ばれる薄い膜から発生する腫瘍です。原発性脳腫瘍の中では一番数が多い腫瘍です。多くは良性であり、増大スピードが遅く、脳との境界が明瞭です。手術で取り切ることで寛解します。小さくて症状がない場合や高齢の患者さんの場合はすぐに手術をせずに様子を見る場合もあります。しかし中には悪性のものも含まれており、再発します。

下垂体腺腫:脳の中心部である下垂体と呼ばれるホルモンを分泌するところに出来る腫瘍です。下垂体を圧迫し障害することでホルモン低下症をきし、女性の場合は月経不順や男性で体毛が薄くなるなどの症状をきたすと場合があります。また、尿崩症と呼ばれる尿が大量に出る症状をきたします。さらに腫瘍が大きくなると目の神経を圧迫し視界が悪くなります。

一部で腫瘍からホルモンを分泌するものもあり、先端肥大症などがあります。成長ホルモンが分泌され、手先の先や額、顎などが大きくなり、糖尿病や高血圧などを合併します。

転移性脳腫瘍:肺がんや乳がん、大腸癌からの転移が多いです。肺がんが半数を占めます。腫瘍の場所などにもよりますが、手術と放射線治療があります。


  • 脳腫瘍で特に注意必要な症状寝起きの頭痛や吐き気です。また、徐々に麻痺が進んだり、行動がおかしくなった場合は危険なサインかもしれません。
  • 髄膜種が最も多く、ほとんどは進行が遅く、脳腫瘍に浸潤しないため良性です。
  • 脳細胞から発生する神経膠腫(グリオーマ)は種類が多く、悪性度が高い膠芽腫(グリオブラストーマ)は平均生存期間が1年であり、予後不良です。

脳腫瘍は発症は高齢者が多く、症状に気づきにくい場合もあります。今回解説した症状を認める場合は一度病院で検査を行ってください。髄膜種の多くは脳ドックなどで偶然見つかります。

その他の病気に関してもまとめていますので目次から選択してご覧ください。

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