脳腫瘍で最も多い良性腫瘍!髄膜種,治療について

みなさんこんにちはマッスルDrです。

前回脳腫瘍について解説しましたが、脳腫瘍にもさまざまな種類があります。その中でも全体の27%をしめる髄膜種について解説したいと思います。

記事:脳腫瘍の悪性度と治療選択! | https://docotormuscle.com/post-377/


○髄膜種について

脳は3層の膜に包まれており、外側から硬膜・くも膜・軟膜と呼ばれます。髄膜種はくも膜の表面にあるくも膜細胞から発生します。脳の細胞と異なり、脳との間に軟膜もあるため脳実質外腫瘍です。90%以上は良性であり、増殖速度も遅く転移しません。人によっては10年間大きさが変わらず、治療しない場合もあります。

髄膜種が発生する原因ははっきりと解明されていません。高齢発症が多く、子供では稀です。中高年の女性に多く(男性の約2倍)、乳がんや子宮筋腫との関連も報告されており、女性ホルモンとの関連があると考えられています。そのほかには放射線の影響や遺伝子異常(神経線維腫症type2:22番染色体異常)などの場合もあります。特に放射線治療によって後で説明する異形性髄膜種や退形成髄膜種などの悪性度の高い髄膜種の頻度が高くなると報告されています。


○髄膜種の種類

髄膜種はくも膜下細胞が多い部に発生しやすく、好発部位も決まっています。発生する場所によって治療の難易度が変わるため、呼ばれ方が変わります。円蓋部髄膜種、傍矢静洞髄膜種、大脳鎌髄膜種などが多く見られます。また、脳室と呼ばれる脳の間の髄液が溜まっている部分にも発生する場合はあります。

グリオーマとは異なり、悪性度によって3段階で分類されます。手術で腫瘍細胞を生検し、顕微鏡で観察することで診断します。(病理検査)

・グレード1:良性髄膜種
 90以上は良性であり、グレード1に分類されます。腫瘍の増殖スピードも遅く、手術で取り切れば再発しません。
 例:髄膜皮性髄膜種(Meningothelial meningioma)、繊維性髄膜種(Fibrous meningioma)、移行性性髄膜種(Transitional meningioma)

・グレード2:中間悪性髄膜種
 良性の髄膜種と比べると再発率が高く、一部では脳に浸潤も認める髄膜種です。再発を繰り返し、何度も手術を行う必要がある患者さんもいます。
 例:異形性髄膜種(Atypical meningioma)、明細胞髄膜種(Clear cell meningioma)、脊索種様髄膜種(Chordoid meningioma)

・グレード3:悪性髄膜種
 良性髄膜種とはかけ離れており、ほぼガンです。1〜2%と割はいは少ないですが、とても予後不良です。再発を繰り返し、進行スピードもとても早いです。
 例:退形成髄膜種(Anaplastic meningioma)、ラプトイド髄膜種(Rhabdoid meningioma)、乳頭状髄膜種(Papillary meningioma)


○髄膜種の症状

脳実質外腫瘍であり、脳組織に浸潤して障害することは稀です。そのため、腫瘍が大きくなることで脳を圧迫し局所症状をきたす場合と、腫瘍自体がかなり大きくなることで頭蓋内圧が亢進し頭痛や嘔吐を認める場合があります。

局所症状は腫瘍が起きる場所によって異なります。

・頭のテッペン(頭頂部):手足の麻痺や痙攣などの症状を認めます。(傍矢状髄膜種、円蓋部髄膜種)

・前頭部:全身性の痙攣を起こすことがあり、腫瘍が大きくなるにつれて認知症や歩行障害を認めます。

・その他視神経の近くに発生する場合は視野障害や視力障害を認めます(鞍結節部髄膜種、斜台錐体骨髄膜種、海綿静脈洞部髄膜種)。また、耳の聞こえにくさや顔の感覚障害を認める場合もあります(小脳橋角部髄膜種、錐体骨尖部髄膜種)。


○検査と治療

検査

CT検査やMRI検査で発見できます。ほとんどの場合は無症状であるため人間ドックなどで偶然に見つかることが多いです。MRI検査でとても詳しく調べることができ、硬膜に付着している様子が特徴的です。また、造影MRI検査でよく造影されることも特徴的です。血管が豊富な腫瘍であるため、手術の前にカテーテル検査を行い、腫瘍に向う血管の一部を止めていまうこともあります(塞栓術)。

治療

髄膜種の治療法としては主に手術放射線治療治療があります。症状がない場合や腫瘍が大きくならない場合は経過観察することがほとんどです。

腫瘍が大きく、周辺の脳への浮腫を認める場合や症状がある場合は手術を提案します。手術は髄膜種の場所や大きさ、性質などにより難易度が変わります。髄膜種は取り切れれば再発のリスクが低くなりますが、広範囲に硬膜と付着しており、取り切ることで硬膜が広範囲に欠損してしまう場合や頭蓋底部の場合は全てを取りきれない場合があります。

可能な限り腫瘍を焼却したり、術後に放射線を追加で当てたりする場合もあります。

放射線治療に関しては髄膜種の性質にもより、効果があるものとないものに分かれます。腫瘍が小さいものや悪性度が低いものは効果があるとの報告もあります。ガンマナイフと呼ばれる特殊な治療もありますので、担当の医師に相談してみてください。


○まとめ

・髄膜種は90%以上が良性であり、進行速度が遅く、転移もしません。
・症状がない場合が多く、脳ドックなどで偶然見つかることが多く、経過観察を行うことも多いです。
・腫瘍が大きくなると麻痺や痙攣、認知症のような症状が出る場合があり、手術が必要です。
・小さい腫瘍の場合は放射線も有効です。
・悪性度が高いものは再発し、放射線でも制御しきれません。

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