多彩な種類で多彩な症状をしめす神経膠腫(グリオーマ)!悪性脳腫瘍の5分の1を占める。
前回から引き続き脳腫瘍に関して解説します。脳腫瘍の中でも特徴的な神経膠腫(グリオーマ)について今回は解説したいと思います。
悪性脳腫瘍の約20%が神経膠腫(グリオーマ)であり、日本では年間に4000〜5000人発見されています。
○神経膠腫(グリオーマ)について
神経膠腫(グリオーマ)
神経膠細胞(グリア細胞)から発生する腫瘍です。脳細胞は神経細胞(ニューロン)とそれ以外の神経膠細胞(グリア細胞)に分類されます。
・神経膠細胞の種類
電気信号を伝える細胞(オリゴデンドロサイト)
免疫を司るさいぼう(ミクログリア)
細胞を支えて様々な活動をする細胞(アストロサイト) など
*神経細胞(ニューロン)の5倍の数で存在しています。これらの細胞がそれぞれ腫瘍化することで神経膠腫(グリオーマ)になります。
神経膠腫(グリオーマ)は浸潤性の腫瘍であり、はっきりとした境界がない場合もあります。正常細胞と腫瘍細胞が混じり合っています。発症の原因ははっきりと解明されていません。白血病などで過去に行った放射線治療の影響で、腫瘍のリスクが高くなることがわかっています。
○神経膠腫(グリオーマ)の種類
IDHやp53と呼ばれる遺伝子変異や染色体1p19q共欠損などにより分類されます。
現在、遺伝子検査は保険適応ではなく一部の大学病院やがんセンターのみで実施されています。
神経膠腫の中で最も多いもの
・星細胞腫(せいさいぼうしゅ:アストロサイトーマ)
・乏突起膠腫(ぼうとっきこうしゅ:オリゴデンドロサイトーマ)
それぞれ悪性度の低いものから高いものまで様々です。
星細胞腫(アストロサイトーマ)の方が乏突起膠腫(オリゴデンドロサイトーマ)よりもタチが悪く、最も悪性度が高いものは膠芽腫(こうがしゅ:グリオブラストーマ)と呼ばれ、5年生存率は10%であり、平均寿命は14ヶ月ほどです。
○神経膠腫(グリオーマ)の治療
治療の前に診断が必要ですが、脳腫瘍の確定診断には病理検査と呼ばれる顕微鏡で腫瘍の細胞を見ることが必要です。
細胞を取るために手術が必要なため、基本的には手術を行う必要があります。しかし、腫瘍が小さすぎる場合や脳幹などの傷つけることで命に関わる場所もあるため、手術ができないため放射線治療を行う場合もあります。
神経膠腫(グリオーマ)の場合も他の腫瘍と同様で手術で腫瘍細胞を全て取り切れれば完治しますが、腫瘍細胞と正常細胞が同時に存在する場所もあるため、全てを取り切ることで麻痺や意識障害などさまざまな症状をきたす可能性もあります。多くの場合で全ては取り切れません。
腫瘍が残った場合は、放射線治療と抗がん剤を使用します。薬ではテモゾロミドが有効とされていますが、遺伝子変異によっては効果がない場合もあります。
- 神経膠腫(グリオーマ)は遺伝子変異(IDHやp53)や染色体1p19q共欠損などにより分類され、星細胞腫(アストロサイトーマ)と乏突起膠腫(オリゴデンドロサイトーマ)などに分類されます
- 最も悪性度の高い膠芽腫(グリオブラストーマ)は5年生存率は10%ほど
- 治療は手術を行い、追加の放射線治療と化学療法があります
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*最新のガイドラインや書籍を参考に記事を作成し、最新の内容にアップデートしますが、医療は日々進歩しているため、中には間違った内容が含まれる場合があります。
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