一過性脳虚血発作(TIA)〜一時的な麻痺、喋りにくさ、視野が欠ける!脳梗塞の警告サイン〜
みなさんこんにちはマッスルdrです。
脳梗塞の警告サインであり、脳梗塞の一歩手前の一過性脳虚血発作(TIA)について解説したいと思います。
患者さんそれぞれリスクは違いますが、TIA後の24時間から48時間以内の脳梗塞の発症リスクが高く、脳梗塞の警告サインです。症状と対応について解説します。
○TIAとは
一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attack)は名前の通り一時的に脳への血流が途絶えることで脳の障害が起こることです。ほとんどのものが1時間以内に症状が改善します。また、MRI検査やCT検査などで異常を認めません。
TIAのリスクを予測するABCD2スコアがあります。年齢(age)、血圧(blood pressure)、神経症状(clinical features)、糖尿病(diabetes)、持続時間(duration of symptoms)の頭文字をとったものです。2日(48時間)以内の脳梗塞の発症リスク:低リスク 1%、中リスク4.1%、高リスク8.1%
日本の研究では、TIAをきたした患者さんの8.1%が一年以内に脳梗塞を発症したと報告されています。
○TIAの原因
TIAの原因は脳梗塞と同じです。動脈硬化によって頸動脈などの太い血管が細くなり、プラークの一部や血栓の一部が剥がれて血流になって脳の動脈を詰まらせることが原因です。心臓などでできた血栓が血流にのって脳の血管が詰まる場合もあります。TIAの血栓は小さいためすぐに溶けて症状がすぐに改善することが特徴です。
動脈硬化で動脈がすでに細くなっている場合は、脳の血管が詰まらない場合でも、貧血や血圧の低下などが原因で相対的な血流低下によるTIA症状をきたす場合もあります。
○TIAの症状
TIAが特に疑われる症状は、片方の麻痺や感覚障害、失語などの言語障害、片目のみの見えなくなるなどです。基本的に脳梗塞と症状は同じですが、脳梗塞と違って症状は5-10分程度しか持続しません。
特に片目だけ目の前が暗くなり一時的に見えなくなる病態(一過性黒内障)があります。これは眼動脈と呼ばれる目の網膜を栄養している血管の血流が低下することでおこります。眼動脈は内頸動脈と呼ばれる首の1番太い血管から出ているため、この症状がある場合は内頸動脈狭窄症が最も疑われます。
○TIAの予防と治療
治療は薬を使った内科的治療を行います。内頸動脈狭窄などの動脈硬化が原因の場合(脳血栓性)はアスピリンやクロピドグレルなどの抗血小板薬を使用します。心房細動などが原因で心臓にできた血栓が原因の場合(脳塞栓性)はワーファリンやDOACなどの抗凝固療薬を使用します。
TIAのリスクは脳梗塞と同じで高血圧、糖尿病、脂質異常症などです。脳梗塞の予防と同時に治療を開始します。それぞれ別の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
頸動脈狭窄がある場合は手術(頸動脈内膜剥離術:CEA)やカテーテル治療(頸動脈スタント留置術:CAS)を行います。目安は血管が70%以上の狭窄がある場合です。
○まとめ
・一過性脳虚血発作(TIA)は一時的に脳への血流が途絶えることで脳の障害が起こることです。1時間以内に症状が改善します。(ほとんどの症状が5〜10ほどで改善)
・MRI検査やCT検査で異常を認めません。
・TIAをきたした患者さんの8.1%が一年以内に脳梗塞を発症します。
・原因や症状は脳梗塞と同じで治療は薬による予防と高血圧や糖尿病、高脂血症などのリスクも治療します。
その他の病気に関してもまとめていますので目次から選択してご覧ください。
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